gp500physics’ blog

元・GP500 Physics 開発ブログです。

Ryzen 5 PRO 4650G を DeskMini A300 に搭載してみたら普通にすごいぞ!

前回は ASRock X570M Pro4 で Ryzen 5 PRO 4650G を動かしてみましたが、発熱が少し大きいものの、消費電力は Ryzen 5 3400G よりも少ない。これは DeskMini A300 でいけるんじゃないかという謎の確信を得たので、今回はそれを実行することにしました。

まず、Ryzen 5 PRO 4650G が認識できる状態にするために、DeskMini A300 の BIOS をベータ版の 3.60N にアップデートします。新旧の BIOS で認識できる CPU が必要なので、今回は Athlon 3000G を使いました。

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BIOS のアップデートが完了し、起動を確認したところで、Ryzen 5 PRO 4650G を DeskMini A300 に取り付けます。CPUクーラーは Cooler Master MasterAir G200P。このCPUクーラーは欠点が多いですが、一度取り付けてしまえばマザーボードの表側の作業だけでCPUが交換できるので、5分ほどで交換完了。唯一の利点です。

電源を入れてみると、あっさり起動BIOS でもちゃんと認識していました。DDR4-3200 の設定のまま、Windows10 も すんなりと起動してしまいました。今回もここまでノントラブルです。

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驚いたのはアイドル時の消費電力。あっさり 10W 以下まで下がります。3400G は 13W くらいだったので、25% くらい下がっているようです。 SSD を 3台搭載している状態でこれなので、SSD が 1台だったらもっと下がりそうです。

f:id:gp500physics:20200815193734j:plain※9.4Wまでは確認できました。

さて、驚異的な低消費電力を見せつけられたところで、早速ベンチマークを実行して、Ryzen 5 3400G と比較してみたいと思います。システムの環境と、ベンチマークの結果はこちらの通り。


OS:Windows 10 Home 64bit
Motherboard:ASRock A300M-STX (DeskMini A300)
CPU Cooler:Cooler Master MasterAir G200P
RAM:Crucial CT2K16G4SFD832A (DDR4-3200 native CL22 16GBx2)
SSD1:Samsung 960 EVO MZ-V6E500 (500GB M.2 NVMe)
SSD2:Crucial P1 3D NAND CT500P1SSD8 (500GB M.2 NVMe)
SSD3:Micron 1300 SATA TLC SSD (2TB SATA)
Case:ASRock DeskMini A300

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今回はまず、Cinebench R20 と R15 を選びました。Cinebench 実行中に CPU の温度が 80℃ 近くに達したため、Windows の「電源オプション」から「プロセッサの電源管理」を 99% に設定した状態も計測してみました。

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消費電力は Ryzen 5 3400G よりも 15W ダウンしました。4.3GHz までしっかりクロックが上昇している中、消費電力的には全く問題なさそうな気がします。

しかし「プロセッサの電源管理」を 99% に設定すると、さらに消費電力が激変しました。Cinebench R20 実行中の消費電力が、95W から 56W まで下がりました。CPU の温度も 55℃ 前後で収まっています。ブーストクロックに入りにくくなるだけで、一気に消費電力と温度は下がるようです。

そしてスコアは、Ryzen 5 3400G とはシングルスレッドで同等、100% 状態の Ryzen 5 PRO 4650G とは 1割強の性能低下で収まっています。99% の設定でのワットパフォーマンスは超優秀のように見えます。


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仕事用のPC ですが、CPU と GPU の両方に負荷がかかったときの温度を計測するためにFFXVベンチマークを実行しましたが、Ryzen 5 PRO 4650G の CPU温度が Cinebench を実行したときのように上がっていきません。CPU の温度も 60℃ と、おとなしい。

99% の時のスコアがほとんど変わらないので、GPU が足を引っ張っているのでしょうか。Ryzen 5 3400G では CPU の温度が 90℃ 台に跳ね上がっているのを見ると、かなり低発熱化されていることが分かります。

その代わり、Ryzen 5 PRO 4650G の スコアは Ryzen 5 3400G よりもほんの少しだけダウンしています。Renoir 世代のAPUは GPU 性能をできるだけキープしつつ、発熱や消費電力を最小限に抑える工夫がされているようです。


Ryzen 5 PRO 4650G を DeskMini A300 に搭載してみましたが、あっさり動いてしまいました。しかもとんでもない高性能。発熱と消費電力が心配でしたが、「電源オプション」から「プロセッサの電源管理」を 99% にする設定をすれば、何も問題はなさそうです。

この状態で OCCT を 1時間実行しましたが、温度が 60℃ を超えることもなく、本当に大丈夫そう。忘れちゃいけないのは、CPUクーラーが Cooler Master MasterAir G200P でもなんとかなっているということ。Ryzen 5 3400G では温度的な限界をしばしば超えていましたからね。

DeskMini A300 は仕事用の PC なので、ベンチマークを終えた後に Excel や Word も起動させてみましたが、やっぱり Zen2 は瞬発力がある感じで、ソフトウェアの起動速度が速いです。これは Ryzen 5 2600 から Ryzen 5 3600 に換装したときにも体感したことなので、これが Zen+ 世代と Zen2 世代の差なのだと思います。

ということで、Ryzen 5 PRO 4650G は DeskMini A300 で使っていこうと思います。家のメイン機(Ryzen 5 3600)と仕事用の PC のスペックがほぼ同じになったことは今までなかったので、ちょっとうれしいです。