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元・GP500 Physics 開発ブログです。

Ryzen 9 5950X がやってきた! ちゃんと動く? 最強CPUの性能は?

発売日のネットでの秒速試合に打ち勝ち、Ryzen 9 5950X をゲットしました! Ryzen 9 3900X の時は惜しくも敗退したので、1年半の時を経てリベンジ成功です。宅配を待っていられず、営業所受け取りに変更してもらってきたのがこちら!

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ちゃんと窓から最強 CPU が顔を出しています。ところが開けてみると…スッカスカ。CPU クーラーが付属しないからとはいえ、10万円の CPU を守るにはやや貧弱です。CPU はいつものブリスターパッケージに入っていました。

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さて、早速マザーボードに取り付けます。マザーボードは、ASRock X570M Pro4 です。CPUクーラーには空冷の CRYORIG H5 Universal V2 を選びました。ビデオカード例のグラボこと、Radeon RX580 2048SP です。

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取り付けが終わったところで、電源を投入。前もって BIOS を 3.00 にバージョンアップしておいたので、あっさり CPU を認識、BIOS 画面に入ることができました。Windows も何事もなく起動しました。

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最強CPUが動いたのを確認できたところで、ベンチマークを取るためにメモリの設定をいじろうとしたのですが…。DDR4-3600 以上でタイミングを触ると、一発で起動不可に。Ryzen 7 PRO 4750G でもありましたね、こんなこと。BIOS の安定待ちです。

DDR4-3600 CL26 と DDR4-3200 CL14 で動作が確認できたので、タイミングが速い DDR4-3200 CL14 を選んでベンチマークをとってみました。比較対象は、昨日まで我が家の最強だった Ryzen 9 3900X です。

両者とも、BIOS で Precision Boost Overdrive を有効にし、Override CPU を 200MHz に設定。Windows 起動後に Ryzen Master から PPT=180、TDC=160、EDC=170 の最大値に設定。これで最大性能を確保です。

HWiNFO64 で動作周波数を確認してみると…見事に 5GHz を超えています。その昔、FX-9590 は TDP220W の壁に跳ね返されて 5GHz 起動を断念しましたが、数年の時を経て 5GHz に到達できました。空冷でも 5GHz に到達するだけなら、あっさり成功できます

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さて、ここからはいよいよベンチマークです。Ryzen 9 3900X に対して Ryzen 9 5950X はどれだけ性能で上回るのか、メモリはまだ性能を引き出せていないものの、ワクワクしながら実行しました。

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  Ryzen 9 3900X Ryzen 9 5950X
コア世代 Zen2 (7nm) Zen3 (7nm)
コア/スレッド 12/24 16/32
CPUクロック 3.8GHz
最大4.6GHz
3.4GHz
最大4.9GHz
L2キャッシュ 6MB 8MB
L3キャッシュ 64MB 64MB

OS:Windows 10 Pro 64bit
Motherboard:ASRock X570M Pro4 (AMD X570 Chipset)
CPU Cooler:CRYORIG H5 Universal V2
RAM:Patriot Viper Steel PVS416G440C9K (DDR4-4400 CL19 8GBx2)
GPU:Sapphire Radeon RX 470 8G GDDR5 Mining Quad UEFI (RX580 2048SP化済)
SSD:Intel SSD 660p SSDPEKNW512G8XT (512GB M.2 NVMe Gen3)
PSU:玄人志向 KRPW-P630W/85+ (630W 80PLUS Bronze)
Case:長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX

Ryzen 9 3900X
RAM Frequency:DDR4-3600
CAS Latency:14-15-14-28 1.45V

Ryzen 9 5950X
RAM Frequency:DDR4-3200
CAS Latency:14-14-14-28 1.45V

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まずは基本のベンチマークFFXVベンチマークFFXIVベンチマークCinebench R20、Cinebench R15 を選びました。FFXV は WQHD で、FFXIVフルHD で計測しました。

FFXVベンチマークはまさかの Ryzen 9 3900X の勝ちFFXIVベンチマークはわずかに Ryzen 9 5950X が上回りました。差はどちらも誤差の範囲で、Radeon RX580 2048SP の性能が足を引っ張っているようです。メモリの性能が引き出せるようになれば、もう少し差がつくかもしれません。

Cinebench は R20、R15 ともに Ryzen 9 5950X がぶっちぎり。マルチは順当にコア数分の性能向上、シングルも24%前後の性能向上です。Ryzen 9 3900X の性能が霞んで見えるくらいにすさまじい、まさに最強です。R15 の OpenGL も驚きの性能向上となりました。

Cinebench R20 の実行時に温度も測定しましたが、Ryzen 9 5950X の方が冷えています。ただ、短時間の負荷で 90℃ に達してしまうので、常用するには簡易水冷が必要だと思います。

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また、Cinebench R20 の実行時の Ryzen 9 5950X の消費電力は 269W。アイドル時は 58W でした。Ryzen 9 3900X の消費電力は今回測れていませんが、アイドル時は同等、高負荷時は 230W 位だったと思うので、少し増えているかもしれません。

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続いて、TMPGEnc Video Mastering Works 7 でのベンチマークです。マルチコアの性能を引き出しにくい「フィルターあり」のエンコードと、マルチコアの性能をそのまま生かせる「フィルターなし」のエンコードを行いました。

「フィルターあり」は15秒の動画、「フィルターなし」は3分の動画です。ともにフレームレートを倍速化しています。デコードは Radeon に任せているので、フィルター処理とエンコードだけを CPU に投げています

「フィルターあり」で有効にしたフィルターは次の通りです。

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「フィルターあり」はエンコードの負荷が低い H.264エンコードRyzen 9 3900X に肉薄されるものの、シングルスレッドの性能の高さが生きたか、10% ほどの差で抑えました。エンコードの負荷が高い H.265 のエンコードでは圧勝、約 30% ほどの差がつきました。

「フィルターなし」は H.264 も H.265 も Ryzen 9 5950X が 30% 以上の性能向上を実現しました。温度も Ryzen 9 5950X の方が冷えていますRyzen 9 3900X は 100℃ に達してしまったことを考えると、発熱あたりのパフォーマンスはかなりものです。


総じて見ると、Ryzen 9 5950X はゲーム向けというよりは、動画編集などのクリエイター向きの CPU です。ゲームだけに使うなら、ベースクロックが高い Ryzen 9 5900X の方が幸せになれるかもしれません。

動画編集を行うなら、うってつけ。特に TMPGEnc ではフィルター処理に強くなったことがうれしいです。最強の名にふさわしく、何を処理しても最強の性能を出すことに間違いはありません。

また、この CPU は DDR4 メモリを使う AM4 ソケットで最後の世代になりそうなので、DDR5 メモリ、AM5 ソケットの値段がこなれてくるまで、動画編集機、ゲーム機として使い続けたいと思います。

これでもまだ、メモリ周りに問題を抱えた状態です。メモリの性能が引き出せるようになったらどうなるのか。楽しみです。

 

(11/19追記) BIOS のアップデートで DDR4-3600 CL14 での動作に成功しました!