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元・GP500 Physics 開発ブログです。

Ryzen 9 5950X を 65W で動かしてみた

Ryzen 9 3900X では割と簡単にうまくいったのに、Ryzen 9 5950X は話が違ったようで、なかなか 65W 駆動ができずにいました。うまく起動したように見えても、しばらくするとストンと電源が落ちてしまう現象に悩まされていました。

いろいろ試し続けながら、ずいぶん時間が経ってしまいました。でもついに、安定する設定を見つけたので、その設定とベンチマークの結果をまとめていきたいと思います。

まずは設定から。肝心だったのは VDDP と VDDG の電圧でした。定格よりも少し上げて、それぞれ 0.950V、1.000V とすることで、電源が落ちる現象は起きなくなりました。

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メモリのタイミングは 14-15-14-28、PBO のセッティングは PPT=87W、TDC=60A、EDC=90A、Max CPU Boost Clock Overdrive=200MHz に設定しました。メモリのタイミングについてはこちらの記事にまとめてあります。

さて、安定駆動する環境が手に入ったところで、ベンチマークで定格からどの程度性能が変わるのかを確認したいと思います。


OS:Windows 10 Pro 64bit
Motherboard:ASRock X570M Pro4 (AMD X570 Chipset)
CPU:AMD Ryzen 9 5950X
CPU Cooler:Corsair H100i RGB Platinum
RAM:Patriot Viper Steel PVS416G440C9K (DDR4-3600 CL14 8GBx2)
GPU:MSI GeForce RTX 2060 AERO ITX 6G OC
SSD:Samsung SSD 980 PRO (1TB M.2 NVMe Gen4) 
PSU:Cooler Master MWE Gold 750 Full Modular 750W (750W 80PLUS Gold)
Case:Cooler Master Silencio S400 TG

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まずは TMPGEnc Video Mastering Works 7 から。フィルターあり、なしともに 1割程度、エンコードの時間が延びました

そして、消費電力を H.264 フィルターなしのときに測定すると、65W 駆動時は 210W、定格 105W 駆動時は 306W と、3割以上の消費電力が削減できていました。また、CPU の温度も測定してみると、65W 駆動時は 53℃、定格 105W 駆動時は 76℃と、温度にも 20℃ 以上の大きな開きが。

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続いて、普通のベンチマークソフト。FFXVベンチマークでは、3%程度の差で無視できそうな程度の差です。

Cinebench では、マルチで 2割程度の差をつけられるものの、シングルでは 65W が定格をわずかに逆転。CPU が冷えているので、PBO が働きやすい状況になっているようです。実際、エンコードで負荷をかけている状態でも 5GHz 以上のクロックに達していました。

このあたりを総合して考えると、Ryzen 9 5950X の 65W 駆動は大いにアリ! という判断になります。ワットパフォーマンスが優れすぎです。夏を乗り越えることも考えると、65W 駆動させるのが良さそうです。

パワーが少しでも欲しいときのために、Ryzen Master に定格やその上の設定のプロファイルを登録して、ワンクリックで簡単に性能を上げられるようにしました。Auto Overclocking の項目の Boost Overdrive CPU の数値を合わせておくのがミソです。

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今年は半導体価格の高騰で、新パーツの導入が難しい一年になってしまいそうです…。RTX 3060 Ti を年始に捕まえなかったのが大きなミスでした。手持ちのパーツでなんとかしていくしかなさそうです。特にグラフィックカードは壊さないようにしなければ…。