gp500physics’ blog

元・GP500 Physics 開発ブログです。

Ryzen 5 PRO 4650G がやってきたので 3種類の Ryzen 5 を対決させてみた!

発売から6日目。やっと我が家にも Ryzen 5 PRO 4650G がやってきました。コロナ渦で出かけるのも気が引けたのでネットで注文したのですが、ショップの選択ミスでしたね。

なかなか届かなくてテンション下がりまくりでしたが、開封すると手ぬぐいがついてきたので、少しだけテンションが上がりました。でも、次からは土日祝に発送できないショップは選ばないようにしよう

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Ryzen 5 PRO 4650G は Zen2 世代の Renoirコア を CPU 部分に持つ APU です。6コア12スレッド、定格では最大4.2GHzで駆動します。PROテクノロジーがついているので、セキュリティ周りが強化されているそうです。

今回、8コア16スレッドの Ryzen 7 PRO 4750G を選ばなかったのは、最終的に Deskmini A300 で動かしたいからです。4750G は電力的にちょっとヤバそうな気がしたので、現在搭載している 3400G と同じ、Ryzen 5 を選んだのでした。

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早速開封して取り付けます。マザーボードにはサブ機に使っていた ASRock X570M Pro4 を使いましたRyzen 9 3900X を搭載しているサブ機が使えなくなると困るので、B450M Steel Legend をサブ機に戻しました。

BIOS は前もって 2.90 にアップデートしておいたので、電源を投入すると難なく認識しました。メモリ設定をした後、Windows を起動させると普通に起動。ここまでトラブルなし!

ちゃんと動いているようだったので、ベンチマークを走らせてみました。待たされている間に X570M Pro4 で Ryzen 5 3600 と Ryzen 5 3400G のベンチマークを取っておいたので、Ryzen 5 PRO 4650G と性能を比較してみます。

  Ryzen 5 3600 Ryzen 5 PRO 4650G Ryzen 5 3400G
コア世代 Zen2 (7nm) Zen2 (7nm) Zen+ (12nm)
コア/スレッド 6/12 6/12 4/8
CPUクロック 3.6GHz
最大4.2GHz
3.7GHz
最大4.2GHz
3.7GHz
最大4.2GHz
L3キャッシュ 32MB 8MB 4MB
GPU なし Radeon (Vega 7 相当) Radeon RX Vega 11
GPUクロック なし 1900MHz 1400MHz

OS:Windows 10 Pro 64bit
Motherboard:ASRock X570M Pro4 (AMD X570 Chipset)
CPU Cooler:Cooler Master Seidon 120XL 改
RAM:G.Skill SniperX F4-3600C19D-16GSXWB (DDR4-3600 CL20 8GBx2)
SSD:Intel SSD 660p SSDPEKNW512G8XT (512GB M.2 NVMe Gen3)
PSU:玄人志向 KRPW-P630W/85+ (630W 80PLUS Bronze)
Case:長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX

Ryzen 5 3600 のセッティング
CPU:
Precision Boost Overdrive 有効 (+200MHz)
RAM:
DDR4-3600 CL20
GPU:PowerColor Radeon RX 550 2GB (Radeon RX 550)

Ryzen 5 PRO 4650G のセッティング
CPU:
Precision Boost Overdrive 標準設定 (+100MHz)
RAM:
DDR4-3600 CL20
GPU:VRAM 512MB (自動設定)

Ryzen 5 3400G のセッティング
CPU:
Precision Boost Overdrive 標準設定 (+0MHz)
RAM:
DDR4-3200 CL20
GPU:VRAM 2GB (自動設定)

基本的には標準設定を使用しながら、自動で性能を引き出せるところは引き出せるようにしてみました。Ryzen 5 3400G はあとで Deskmini A300 に載せられるかどうかの参考にしたいので、Deskmini の設定に近づけました。

さて、ベンチマークの結果は以下の通りになりました。


・基本のベンチマーク

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基本のベンチマークには Cinebench R20 と R15、そして PCMark10 を選びました。Cinebench R20 実行時に PC全体 の消費電力をワットチェッカーで記録しました。

結果はおおむね Ryzen 5 3600 が最速でしたが、R20 のシングルだけ Ryzen 5 PRO 4650G が最速となりました。このあたりは L3キャッシュが多い Ryzen 5 3600 と、モノシリックダイの Ryzen 5 PRO 4650G の違いが出たのでしょうか。興味深いところです。

消費電力に目を向けてみると、2倍近くスコアに差がある Ryzen 5 3400G と Ryzen 5 PRO 4650G、なんと後者の方が消費電力が少ない! これには驚かざるを得ません。7nm の威力発揮といったところでしょうか。


・ゲーム系ベンチマーク

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続いては、ゲーム系ベンチマークを3種類実行してみました。さすがに APU に FFXV ベンチマークは荷が重いと思ったので、FFXIVドラクエベンチを準備しました。Ryzen 5 3600 は APU ではないので、VGA には補助電源が不要な RX550 を選びました。

結果は、RX550 が圧勝か…と思いきや、なんといちばん重い FFXVベンチマークRyzen 5 PRO 4650G が RX550 を抑えてしまいましたBIOS の標準設定では VRAM が 512MB しか割り当てられていないのにもかかわらず、です。

負荷が重いゲームほど Ryzen 5 PRO 4650G が優勢にも見えますが、FFXVベンチマークはどちらにしても動作困難の判定。ここは高クロックメモリがあるほど有利と思われるので、メモリが 3200MHz でしか動かない Zen+ な Ryzen 5 3400G に勝ち目はありませんでした。


・動画エンコード

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さて、最後は動画のエンコード性能を確認していきます。ここでは CPU の温度も測定しました。今回は H.264 へのエンコードだけに絞って実施しました。ここでも興味深い結果が出ました。

フィルターありのエンコードでは、ベースクロックがやや高い Ryzen 5 PRO 4650G が優勢。それに対し、フィルターなしの素のエンコードでは、Precision Boost Overdrive が +200MHz まで伸びていた Ryzen 5 3600 が優勢。

どうも複雑な処理になるほど、Ryzen 5 PRO 4650G が優勢な傾向になっている気がします。同じ Zen2 でも設計が少し違うので、ベンチマークの種類によって勝ったり負けたりなのが面白いです。

CPUの温度に目を向けてみると、 Ryzen 5 3600 よりはかなり冷えているものの、Ryzen 5 PRO 4650G は Ryzen 5 3400G よりも 10℃ 近く高い温度を示していました。7nm になって消費電力は少なくなったけれども、冷やしにくくなっているのでしょうか。

Deskmini A300 に搭載した状態では Ryzen 5 3400G でも負荷をかけるとオーバーヒート気味な気がしていますが、Ryzen 5 PRO 4650G を Deskmini A300 に搭載するとどうなるのか、気になるところです。


さて、今回は Ryzen 5 3600、Ryzen 5 PRO 4650G、Ryzen 5 3400G の3種類の Ryzen 5 を対決させてみましたが、なかなか興味深い結果が出て面白かったです。わざわざ X570M Pro4 をベンチ台に引っ張り出したので、もう少しいろいろなことを試してみたいです。