たまに衝動買いしてしまいます。今回買ってしまったのは、Patriot Viper Steel PVS416G440C9K です。XMP で DDR4-4400 駆動を謳うこのメモリ、Amazon のメーカー直販で 15599円でした。注文したら2日後に到着。さすが Amazon、配達が早い。
パッケージとメモリ本体。なんかシールもついています。スペックは 1.45V で DDR4-4400 CL19、1.35V で DDR4-4266 CL19。1.45V とか大丈夫なのかよ?! と思いましたが、意外とメモリって大丈夫みたいです。
早速、ASRock X570M Pro4 に取り付けて起動を確認しますが…。XMP を読み込ませると起動しない。DDR4-4266 や DDR4-3933 なども試してみましたが、BIOSすら起動しません。買うときに覚悟していたことですが、OCメモリはこういうことがよくあります。
これまで使っていた G.Skill SniperX F4-3600C19D-16GSXWB も最初は XMP を読み込ませると起動しなかったので、きっとこの高速メモリにマザーボードや CPU がついてこれていない。たぶん、Zen3世代でまともに動くようになるでしょう。
というわけで、DDR4-3600 あたりで普通に使う…と、SniperX と変わらなくなってしまうので、メモリチューニングに挑戦してみました。無数にあるタイミングの項目を適当にいじるのも大変なので、DRAM Calculator for Ryzen 1.7.3 by 1usmus を頼りました。
これを使う前に、このメモリのことについて調べる必要があります。これに使ったのが Thaiphoon Burner。これでメモリの情報を読み取み、DRAM Componentsの欄を見ると、このメモリにはサムスンBダイのチップが使われていることが分かりました。
この情報を元に、DRAM Calculator を設定します。今回はこんな感じになりました。X570M Pro4 は tRFC の項目に tRFC2 と tRFC4 の項目があるので、Additional calculators の欄でサブタイミングを求めました。途中までこれに気づかず、なかなか起動しなくて手こずりました。
あとはこのタイミングを、BIOS のメモリ設定のところに打ち込んでいきます。設定項目の順番が同じではなかったので、項目をしっかり確認して、同じ項目の欄に数値を入力していきます。
これでもうまく起動できなかったので、ここから試行錯誤。DRAM電圧を 1.45V、Gear Down Mode を Enabled、procODT を 43.6Ω とすることで、DDR4-3600 CL14 で安定して起動できるようになりました。ベンチマークを実行しても、Memtest86を実行しても、止まったりエラーが出たりしていません。
と、あっという間に設定が終わったように書いていますが、実際は少しずつしか進められなかったので 1週間ほどかかりました。CL16 でも途中までは不安定で、CL14 で動くとは夢にも思っていませんでした。
さて、こうして DDR4-3600 CL14 のメモリが手に入りました。このスペックを謳う他メーカー製のメモリを普通に購入しようとすると、まだまだ20000円以上します。やっぱりこのメモリ、激安です!
Zen2世代の Ryzen では、DDR4-3600 CL16 が最もいいパフォーマンスを発揮する、と謳われています。それより速いこのメモリ、パフォーマンスはどんなものなのでしょうか。Ryzen 7 PRO 4750G を使い、以前に使っていた G.Skill の DDR4-3600 CL20 のメモリと比較してみることにします。
OS:Windows 10 Pro 64bit
Motherboard:ASRock X570M Pro4 (AMD X570 Chipset)
CPU:AMD Ryzen 7 PRO 4750G
CPU Cooler:Cooler Master Seidon 120XL 改
SSD:Intel SSD 660p SSDPEKNW512G8XT (512GB M.2 NVMe Gen3)
PSU:玄人志向 KRPW-P630W/85+ (630W 80PLUS Bronze)
Case:長尾製作所 SMZ-2WBT-ATX
DDR4-3600 CL14
RAM:Patriot Viper Steel PVS416G440C9K (DDR4-4400 CL19 8GBx2)
CAS Latency:14-14-14-28 1.45V
DDR4-3600 CL20
RAM:G.Skill SniperX F4-3600C19D-16GSXWB (DDR4-3600 CL19 8GBx2)
CAS Latency:20-20-20-40 1.35V
結果はこの通り、GPUの処理が重要なグラフィック系のベンチマークでは 1割以上の性能の伸びを記録しました。同じ DDR4-3600 なのに、タイミングの違いだけでここまで性能が変わるとは。価格の差があるのにも納得です。
逆に、CPUの処理にはあまりに速すぎるタイミングはよくないようです。Cinebench R20 のマルチではスコアダウン。ベンチマークの種類によってはタイミングが速いほうがよいとは限らないようで、このあたりは興味深いところです。
もう少しいろいろと検証してみたいので、このメモリでしばらく遊んでみようと思います。
(11/14追記)マザーボードを変えて検証しました。